ALPS処理水の海洋放出に対する理事会声明を内閣総理大臣あてに送付しました

10月26日(木)に開催された生協コープかごしま第27期第24回理事会において、ALPS処理水の海洋放出に対する声明を出し、内閣総理大臣あてに送付しました。

 

内閣総理大臣 岸田文雄殿

 

ALPS処理水の海洋放出に対して政府への要請

 

2011年3月、東日本大震災により東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、現在、廃炉に向けた作業が行われています。この中で日本政府は2021年4月、2年程度の準備期間を経てALPS処理水を海洋放出する方針を公表しました。この方針を受け、2023年8月24日、ALPS処理水の海洋放出が開始されました。

ALPS処理水の海洋放出に対して、政府と東京電力は地元漁業者と「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする約束を行っていました。しかし、海洋放出を決めた8月22日の関係閣僚会議後に、全国漁業協同組合連合会は「これまで一貫して申し上げてきた通り、漁業者・国民の理解を得られない海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と改めて態度を表明し、「我々漁業者は、生まれ育った前浜で事故以前のように安心して漁業を継続することが唯一の望みである」と切に望んでいる漁業者の思いが込められた声明を発表しました。

10月5日にALPS処理水の2回目の海洋放出が始まりました。海洋放出は30年から40年と見込まれています。科学的知見により、安全が確認されているとはいえ、このような長期間、海洋放出し続けて環境への影響は大丈夫なのかと疑念を持つ国民への説明が不足しています。

また、風評被害を防止するためには、調査が継続して行われていること、調査結果を公表し、国内外に安全が確保されていることの理解を得ることが重要です。

ALPS処理水の海洋放出は廃炉の一工程にしかすぎません。原発立地県である鹿児島の生協として、政府に説明責任を果たしていただきたく下記の通り要請します。

 

1.海洋放出の期間は30年~40年といわれています。海洋放出が行われている限り、海域での水質、水産物の放射性物質のモニタリング調査を定期的に実施して、情報の公開を徹底してください。

2.万が一、環境に影響や問題が生じた場合や関連する施設の不具合や事故発生の場合には、人命と環境を優先し海洋放出を一時停止する処置も講じてください。

3.汚染水の発生量を抑制する技術や、ALPS処理水のさらなる放射性物質を除去する技術開発が進んだ場合は、すみやかに新技術を取り入れて環境影響をさらに低減できるように東京電力への指導を行ってください。

4.原発周辺地域に風評被害が起きない対策を徹底し、事業者との連携を今まで以上にコミュニケーションをとり、国内外に正確な情報の発信を行うなど、丁寧な対応を要望します。

 

2023年10月26日

生活協同組合コープかごしま

第27期第24回理事会