憲法記念日市民のつどいが開催されました
5月3日、鹿児島市のカクイックス交流センターで、「憲法記念日市民のつどい」が開催されました。
1997年の憲法施行50周年を機に始まったこの集いは、「憲法の意義を知り、私たちの暮らしに生かす」ことを願い、平和について学び、考える大切な機会として、今年で29回目を迎えました。
今年は、戦後80年という節目の年を捉え、コープかごしまの「戦後80年ピースかごしま2025~平和のバトン つなごう未来へ」企画の第1弾として、初の午前・午後二部構成で開催され、より深く平和について考える一日となりました。
午前の部では、第66回九州高等学校演劇研究大会で九州代表に輝いた伊集院高校演劇部による創作劇「朝は開けたり」が上演されました。
舞台は戦後の奄美。日本への復帰を目指し、懸命に活動したラジオ局員の姿が、高校生たちの熱演によって鮮やかに描き出されました。言葉や文化、そして未来への希望が揺れ動く時代の中で、人々が何を大切にし、どのように生きていたのか。その姿は、私たち自身の足元を見つめ直すきっかけを与えてくれました。
続いて、戦後80年実行委員の方々によって、奄美群島で実際にあった戦争体験が3編、朗読という形で紹介されました。語られたのは、決して遠い過去の出来事ではない、私たちが生きるこの地で起こった悲しい現実。戦争がもたらす傷跡の深さ、平和の尊さを改めて胸に刻みました。会場には約420名の方が来場し、それぞれの心に平和への祈りを灯しました。
午後の部では、「いのちの平和のコンサート」と題し、麦の芽福祉会ちんたらバンドによる温かい演奏で幕が開きました。
そして、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんを講師にお迎えし、「紛争地、被災地に生きる人々の声 ~取材から見えてきたこと~」と題した講演が行われました。安田さんの語る、今この瞬間にも世界のどこかで起きている紛争地の現実、そこで懸命に生きる人々の姿は、私たちの想像力を超え、心を深く揺さぶりました。
被災地との繋がり、人々の抱える様々な想いを知ることで、私たちは遠い世界の出来事を他人事として捉えるのではなく、自分自身の問題として深く考える必要性を感じました。約400名の来場者は、安田さんの言葉一つひとつに真剣に耳を傾け、平和な社会の実現に向けて何ができるのかを考えました。
講演の中で紹介された、シリアの技術者が作る寄木細工の販売サイト「DAMASHQUIE」(https://damashquie.com/)
この日、会場に集まった多くの人々は、演劇、朗読、音楽、そして講演を通して、平和の尊さ、そしてそれが決して当たり前ではないということを改めて感じたことでしょう。
過去の悲劇を深く学び、今この瞬間の世界に目を向け、未来に向けて何ができるのかを考える。この「憲法記念日市民のつどい」は、平和への想いを次世代へと繋いでいくための、大切な一歩となるはずです。
